『つむじ風食堂の夜』|吉田篤弘

小説
蒔

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今回は吉田篤弘さんの作品、『つむじ風食堂の夜』をご紹介します。

『つむじ風食堂の夜』は、風変わりな食堂を舞台に、そこに集う人々を描いた物語。
文庫版で約150ページ(本文のみ)と短めで、手に取りやすい作品です。

著者の吉田篤弘さんは、夫婦で「クラフト・エヴィング商會」としても活動しており、数々の作品の装丁や執筆を手掛けています。
本作のカバーデザインもお二人で手掛けているようです。
(クラフト・エヴィング商會名義ではなく、お二人の連名)

深い紺色を背景に光る小さな明るい星が印象的なデザイン。
表紙の雰囲気そのままに、ひんやりと静かな中に、人や思い出が持つ温かさが染み出してくるような作品でした。

ざっくりあらすじ

月舟町に住む主人公、通称「雨降りの先生」には、行きつけの食堂がある。
その食堂には、ごくふつうの、少し変わった人たちが集まる。不思議な発明(?)をする帽子屋さん、主役になれない舞台女優、読書家の果物屋の青年…
彼らが織りなす、ありそうでなさそうな、どこか懐かしい日常の物語。

感想

昔から、「食堂」という言葉に、何とも言えない抗いがたい魅力を感じてしまいます。
単に食い意地が張っているというのもあるんでしょうが…

「レストラン」にはない何かを感じます。(レストランも大好きですが)
この本を読んで、それって「人との交流が生まれうる雰囲気」みたいなものかもしれないな、と思いました。

何となく顔だけは覚えているとか、ちょっと挨拶だけするとか。
人とコミュニケーションしようが、しなかろうがどちらでもいい、許されているという感じがするんですよね。

皆さんにはそんな食堂があるでしょうか。
私には残念ながら、今はありません。
でも、もしまだこんな食堂があったら、行ってみたいとうずうずしてしまいました。

冬の夜に静かに読みたい本です。

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