『6時27分発の電車に乗って、僕は本を読む』|ジャン=ポール・ディディエローラン

小説
蒔

閲覧ありがとうございます!
今回はジャン=ポール・ディディエローランさんの作品、『6時27分発の電車に乗って、僕は本を読む』をご紹介します。

本作品は、フランスで発表後、36か国で刊行されたベストセラー小説です(参考1)。
執筆時点で残念ながら紙書籍の新品は見つからず、私は図書館で借りて読みました。

読む手段が限られるので紹介するかどうか迷いましたが、とても面白かったので書いてしまいます。
中古での入手や、図書館で借りるなどぜひご検討ください。

さて、こちら原題では「Le liseur du 6h27」(参考2)。
直訳すると「6時27分の読書家」というような意味です。

これに比べて、日本語のタイトルの何という長さ!
原題よりも具体的なので、「本を読むからなんだってんだ」とかえって気になってしまいました。

翻訳者(出版社?)の思うつぼですね。
面白かったので何の文句もありません。

ざっくりあらすじ

断裁工場で働くギレンの毎朝の習慣は、通勤電車で本を読むこと。
仕事に対して、長年続けていても割り切れない辛さを感じていた彼に、「読書」を通じて、思いがけない出会いが訪れる。
老人ホームに住む姉妹、詩人の守衛、顔も知らない「手記」の執筆者…
「読書」が、周囲の人に、彼自身に、小さな変化をもたらしていく。

感想

まず、不本意な仕事に割り切れない気持ちを抱えている主人公のふさいだ気持ちが、ぐっと胸に刺さりました。

同じような日々を繰り返すことで、彼の頭には秋の霧がかかったようになり、感覚はすっかり麻痺している。

ジャン=ポール・ディディエローラン『6時27分発の電車に乗って、僕は本を読む』ハーパーコリンズ・ジャパン

しんどさの絶頂を通りすぎてしまって、淡々と働いている、この感じ。
共感できてしまう…

でも、このしんどい状況の描写があってこそ、そこから解放される瞬間が生き生きして見えてきます。
彼が一番解放される瞬間はやっぱり、毎朝の「読書」。

通勤電車のシーンは何回も描かれますが、彼の心持ちによって、毎回全然違った彩りがあって面白い。
つい一緒に「読書」したくなってしまいます。

いちいち「読書」としているのには訳があるのですが、この物語の面白いところなので、あえてここには書きませんでした。
(察しがついているかもしれませんが…)

本が好きな方ならきっと、どこかしら共感できる物語だと思います。
読み終えた後のすっきりほっこり感をぜひ味わってみてください!

参考1:6時27分発の電車に乗って、僕は本を読む ハーパーコリンズ・ジャパン
参考2:Jean-Paul Didierlaurent WIKIPEDIA

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