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今回は長田弘さんの詩集、『詩ふたつ』をご紹介します。
大判のゆったりした構成で、絵本や画集のような感覚で読める一冊。
詩にあまりなじみがない方でも、見て読んで楽しめる詩集です。
長田弘さんは、長く第一線で活躍した詩人。
本作の他にも、多くの詩集やエッセイなどを発表しています。
詩以外の文章も、独特の透明感があり、はっとさせられるような洞察に溢れていて、読んでいて心地よいです。
エッセイでは、『笑う詩人』(人文書院)がおすすめ。
残念ながら絶版ですが、興味のある方はぜひ探してみてください。
ざっくり概要
「花を持って、会いにゆく」、「人生は森のなかの一日」の2編を収録。
さらにグスタフ・クリムトの風景画21点をフルカラーで掲載した、贅沢な詩集。
感想
実は、「詩」というものに、なんとなくとっつきにくいイメージを抱いていました。
言葉が抽象的だったり、ストーリー性が少なかったり、読みづらく感じてしまうんですよね。
せいぜい「きれいだなー」くらいの感想で終わってしまうことが多かったです。
そんな訳で、詩集というものはあまり読んでこなかったのですが、たまたま長田弘さんの作品に出会って、かなり感じ方が変わりました。
長田さんの詩は、難しい言葉はほとんどなくて、普段口にしているような生きた言葉で書かれています。
ことばって、何だと思う?
長田弘『詩ふたつ』クレヨンハウス
けっしてことばにできない思いが、
ここにあると指さすのが、ことばだ。
こんなに易しい言葉で、こんなに豊かな意味を持つ文章が生み出せるなんて…
何度読んでもすごい。
読者を迷子にしない文章を書く方だなと思います。
さらに本書は、グスタフ・クリムトの絵画をたくさん収録しています。
なんと各見開きに1つ、全部で21点。
クリムトと言えば金色を基調とした華やかな人物画のイメージがありますが、実は風景画も描いていたんですね。
草花の香りが漂ってくるような、温度を感じるような美しい絵の数々。
詩だけ読むより、絵だけ見るより、こころに響きます。
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