『夜の国のクーパー』|伊坂幸太郎

小説
蒔

閲覧ありがとうございます!
今回は伊坂幸太郎さんの小説、『夜の国のクーパー』をご紹介します。

言わずと知れた超人気作家の伊坂さん。
映画化にドラマ化、文芸賞受賞、と華々しい作品が数ある中で、私がおすすめしたい隠れた(?)名作が『夜の国のクーパー』です。

現代日本を舞台にした作品が多い中で、本作はやや異色かもしれません。
世界観はファンタジー、主たる語り手はなんと猫。

伊坂さんの推理小説の手腕も大いに発揮されて、最後まで「そうだったのか!」体験が楽しめます。
「記憶を消してもう一度最初から読みたい本」の個人的ベスト3に入る一冊です。

ざっくりあらすじ

気晴らしに海へ釣りに出た主人公。
ふと目を覚ますと、そこは見知らぬ土地で、身動きも取れない。
そして胸の上に乗った猫は、おもむろに喋りだしたー

猫の住んでいる国のこと、戦争のこと。
猫の目で見た、この世界で起きている本当のこととは。

感想

ネタバレになるので内容については多くを語れませんが、本当はめちゃくちゃ語りたい。
それくらい面白い物語であり、最後まで気を抜けない推理小説でもあります。

語り手は章ごとに変わりますが、メインは猫のトムくん。小説に出てくる猫は、人間っぽすぎたり、逆に可愛らしすぎたりしてしっくりこないこともあるのですが、トム君は最高の語り手。

あっさりドライで、「猫なら確かにこう考えそうだなぁ」と妙に納得できる言動をします。
善悪で物事を考えない目線で見た世界はとても新鮮に感じられました。

登場人物は、それぞれ特徴がはっきり描かれていて、とても分かりやすいです。
各人物を掘り下げるというよりは、必要な役割の登場人物がきっちり配置されているという感じ。
舞台を観ているようで私はとても心地よく感じました。

まず突飛な設定と緊迫した場面に引き込まれ、猫たちと一緒に跳ね回り…
そして大きなテーマとなっている戦争、その正体とは…
これ以上話せないのがもどかしい!

文庫版で約450ページとしっかり厚みのある本ですが、足りない!
読み終わりたくない、この世界をもっと見ていたい!と30回くらい思いました。

くわしくはこちら

コメント