『本は読めないものだから心配するな』|管啓次郎

エッセイ
蒔

閲覧ありがとうございます!
今回は管啓次郎さんのエッセイ集、『本は読めないものだから心配するな』をご紹介します。

他に当てはまるジャンルがなくてエッセイ集としましたが、ちょっと違います。
「読書や言葉に関するあれこれ、広く深く」の書です。

一気読みするより、毎日何ページかずつ、じっくり読むのがおすすめ。

ざっくり概要

読書について、言語について、人間について、深く考察する短文集。
頭から読んでいくもよし、各見開きに付された一言から、気になるところを読むもよし。
今までの自分になかった考え方、知らなかった本に出会える、新しいガイドブック。

感想

「おっ、ちょっととっつきにくいな」これが数ページ読んだ時の印象。
理由ははっきりしていて、一文一文が長い&漢語が多いんです。

それでも読み切って、ここで紹介しようと思ったのは、発見の多い、味わい深い作品だったからです。

じっくり時間をかけて読む価値、大いにありでした。
例えば、こんな文章。

だが読書の<内容>が水だとすれば、ひとつの脳=ダムにあまり多くの水を溜めていいことなんて、ない。
(中略)水はどんどん海という共有場にむかって流れてゆけばいい。あるいは蒸発し、雲になればいい。流量を誇ったり人のそれと比べたりするのはまったくばかばかしい。

管啓次郎『本は読めないものだから心配するな』筑摩書房

「おおお」となる文章が、あっちこっちに出てきます。

さらにもう1つ推したいポイントは、なかなか出会えない本をたくさん教えてくれること。
普通に生きていたらまず出会えないのでは、という本が惜しげもなく紹介されています。

作者の管啓次郎さんの関心は特に、言語、音・音楽、文化人類学、旅などに強く働いているよう。
どれか一つでも興味のある方なら、きっと何かしらの発見がある一冊です。

くわしくはこちら

コメント