『半七捕物帳』|岡本綺堂

小説
蒔

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今回は岡本綺堂さんの作品、『半七捕物帳』をご紹介します。

時代小説×探偵小説の先駆けとなった「半七捕物帳」シリーズ。
数々の媒体に収録されてきた人気シリーズですが、ここで紹介するのは、令和の時代に編まれた傑作集です。

編者宮部みゆきさんのワンポイント読みどころ案内もあり、間違いない読みやすさ。
時代小説、興味あるけど、何から読もう?という方におすすめ!

ざっくりあらすじ

江戸は神田の岡っ引、半七。
世間をにぎわす怪談騒ぎから、連続通り魔事件まで、解決できぬ事件はない!

シリーズ前69編の中から、宮部みゆきさんが選んだ選りすぐりの8編を収録。

感想

岡本綺堂さんは1872年生まれ、島崎藤村や樋口一葉と同い年。
半七捕物帳シリーズは1917年から始まったということで、何と100年以上たっています。

読み終わってからその事実を知りましたが、とても信じられない…
無駄がない簡潔な文章で、全然古さを感じません。

セリフが多く、一文一文が短いのも特徴。
この時代の作品としては異色じゃないでしょうか。

当時の人にとっては物珍しかったのか、あるいは最先端と感じたのか…
発表当時から見ても江戸時代は過去ですが、むしろ新しい感じ、別世界のような感じがしたんじゃないかと思います。

探偵小説は主人子のキャラクターが濃いイメージがありますが、半七は案外クセの少ない人物です。
半七の容姿について触れている数少ない描写がこちら。

笑いながら店先へ腰を掛けたのは、四十二三の痩せぎすの男で、縞の着物に縞の羽織を着て、だれの眼にも生地の堅気と見える町人風であった。色のあさ黒い、鼻の高い、芸人か何ぞのように表情に富んだ眼をもっているのが、彼の細長い顔の著しい特徴であった。

岡本綺堂『半七捕物帳』新潮社

性格やら内面やらについては、あまり掘り下げていません。
人物描写がしつこくなくて、私は読みやすく感じました。

探偵小説としては、本格的トリック求む!という時より、起承転結の面白さや爽快な謎解きを楽しみたい時にぴったりはまりそう。

著者は時代考証が性格であることでも有名。
あまり知識がない私でも、江戸にどっぷりつかれる、稀有な作品でした。

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