蒔
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今回は恩田 陸さんのミステリー小説、『薔薇のなかの蛇』をご紹介します。
由緒ある一族、洋館、黒薔薇、猟奇殺人ー
背筋がゾクゾクするゴシックな舞台設定。
名探偵不在の事件の真相、あなたは読み解けますか?
ざっくりあらすじ
イギリス、ソールズベリーの遺跡で起きた、猟奇的な殺人事件。
現場からほど近くには、いわくつきの洋館、ブラックローズハウスがあった。
奇しくもパーティーのため、多くの客人が集まったブラックローズハウス。
さらなる不穏な事件が幕を開けるー
感想
何がぐっと来たかって、表紙の絵。
黒い花をつけた棘のある草に絡みつかれた洋館、金色の杯を掲げる一人の女性。
油絵風の、不穏な香りのする絵に、ピンときたわけです。
私の好きな世界観に間違いないぞ、と。
読もうか読むまいかお悩みの方は、表紙を見てみていただきたい。
「おっ」と思ったならば、同好の士です。
ちなみに、各章の扉絵と挿絵も楽しめてしまいます。
文庫本だというのに、なんと贅沢。
絵ばかり褒めたたえてしまいましたが、言うまでもなく内容も面白い。
舞台設定は絵の通り重厚なゴシック調ですが、語り口に重苦しさはなし。
ちょっとした会話や動きに隠された伏線が、見事に回収されていく快感を味わえました。
これぞミステリーの醍醐味という感じ。
どんな世界でもいきいきと登場人物を動かす、恩田さんの技に脱帽です。
最後に、実は本作はシリーズもの。
<理瀬シリーズ>のなんと17年ぶりの新刊だそうです。
もっとも物語は独立しているので、こちらから読んでも差しさわりありません。
謎めいた美女、理瀬のストーリーをもっと読みたくなった方は、こちらの既刊もチェック!
くわしくはこちら
これもおすすめ
理瀬シリーズ既刊
『三月は深き紅の淵を』
『麦の海に沈む果実』
『黒と茶の幻想』
『黄昏の百合の骨』
『薔薇のなかの蛇』
第一作目はこちら↓
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