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今回はアン・クレア・レゾットさんの小説、『目で見ることばで話をさせて』をご紹介します。
アメリカのボストン南西部に位置する、マーサズ・ヴィンヤード島。
この島にかつて実在した、誰もが手話を使える社会を舞台にした歴史フィクションです。
聞こえないことって、おかしいの?
体が、人種が、宗教が違ったら、ひとは仲良くできないの?
「共存」って言うだけなら簡単だけど、どうすれば実現できるんだろう。
そんな疑問を、まっすぐ問いかける物語です。
ざっくりあらすじ
物語を作るのが好きな11歳の少女、メアリー。
事故で兄を亡くした悲しみが癒えない中、島に科学者がやってくることを知る。
好奇心旺盛なメアリーは、心を躍らせるが…
感想
聞こえない人の世界ってどんな感じだろう?
どんな感覚だろう?と考えても、今まであまり想像ができませんでした。
でも、メアリーの気持ちになって本書を読むうち、少しずつ彼女の感覚に寄り添えるようになった気がします。
肌に伝わる振動で音を感じたり、表情や身振りからより多くのことを読み取ったり…
完全に理解できるわけじゃない。
でも、分かろうと思ったぶんだけ、世界の見方が広がるかもしれない。
それってシンプルにうれしいことだなと思います。
11歳のメアリーの視点で書かれているので、率直で読みやすいのも魅力。
私はメアリーに感情移入しすぎて、読みながらにやにやしたり、手をたたいて笑ったりしてました。
ちなみに私が本書を知ったきっかけは、ノーラ・エレン・グロース著『みんなが手話で話した島』。
こちらはフィクションではなく、現地調査に基づく著作です。
資料として貴重なのはもちろんのこと、手話が共通語だった時代を知る人々の証言が満載で、読み物として文句なしに面白い。
本書の作者も、あとがきで言及しています。
本ブログでも紹介しているので、興味のある方はこちらからぜひ!
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